積雪寒冷地北海道では、寒さ、結露、光熱費負担に悩まされる暮らしから脱却するために、道外の住宅より高い断熱気密性能の家が必要です。しかし建材費の高騰、大工や技能者の高齢化と人材不足が進む中で、新築戸建て住宅で2000万円を切る家を建てるのは難しい。また、家を購入する側からすると2000万円超えの建物+土地代というのは大きな経済的負担です。
そのため、家の性能、大きさ、仕様を削って2000万円以下の新築戸建て住宅を建てる、という家づくりが近年増えています。ただし、それによって断熱気密性能が不十分になると、光熱費が年間で40万円を超えてしまうことも珍しくありません。そうなると住宅ローン+光熱費負担で支払いはむしろ苦しくなります。
かといって築30年の中古住宅を安く買い、断熱改修をすると、総費用は決して安くない。しかも断熱改修は新築工事よりも高い技量と経験が必要です。良い住宅会社・リフォーム会社を見つけられず、断熱改修しても省エネにならない・暖かくないというケースも出てきます。
そこでノースランドホーム(山野内建設)は、ZEH(ゼッチ)と、リノベーションを組み合わせた「ZEH(ゼッチ)リノベーション」という答えを出しました。そしてその有用性を一般の方に分かりやすく実証するために、今回の家は、Tさんの賛同、ご了解を得て当初モデルハウスとして公開されました(公開は終了)。
ZEHリノベーションの仕組みについてはこちらを参照ください。
函館で住宅を建てる人が気づくべき問題点
オーナーのKさんにもお話を伺いました。
家づくりのきっかけは?
Kさん 八雲も冬はマイナス10℃くらいになる日もあります。以前住んでいたアパートは寒くて灯油代もかさみました。カビや結露にも悩まされました。子育て環境も考え、戸建て住宅を手に入れようと、以前から住宅用の貯金もしていました。
ノースランドホームとの縁は?
Kさん 妻が独身時代に住んでいた快適なアパートは、暖かくて綺麗でした。実はノースランドホーム(山野内建設)が建てた建物でした。ノースランドホームは、地元でもよく知られている住宅会社ですし、完成住宅見学会を見に行ってオーナーさんの話も聞いて好印象でした。
築30年の中古住宅をZEHリノベーションするというという手法を山野内社長から教えてもらい、興味を持ちました。
性能の良い新築住宅は高いですが、中古住宅をZEHリノベーションすることで建築費を抑え、しかも光熱費が実質ゼロになるというのはよさそうだと思いました。
モデルハウスとして公開する前提なら、安くしていただけるというのも魅力で、両親にも相談したところ賛同してくれたので、ほとんど他のハウスメーカーなども検討せずに、ノースランドホームに決めました。
家づくりの打ち合わせは?
Kさん 築30年の中古住宅は、そのままでは快適に暮らせるような建物ではありませんでした。それが元になるので、リノベーションするといってもどんな仕上がりになるか、想像しにくい部分もありました。
和室や洗濯物を干せるバルコニーなどの要望は担当の久保田さんに伝え、優しく丁寧に対応してもらいました。ZEH住宅の魅力は山野内社長に教わり、とても共感できました。予算面でも、両親などに相談しても、この機会は逃さないほうが良いといわれるほどで、ノースランドホームさんに依頼できてよかったと感じました。
住み心地は?
Kさん 玄関やお風呂も含めて家じゅうどこも暖かく快適です。床下のエアコンで暖房しているので足元も暖かいです。
敷地にゆとりのある中古住宅を購入したので、車2台と、十分な雪置き場もあります。近くに河川敷もあり、春は桜を眺め、お散歩も楽しめます。立地的に利便性も良く、子育て環境も恵まれています。
キッチンの使い勝手もよく、一階に和室を設けたので、子どもが小さいうちは一階で家族全員並んで寝ています。熱交換換気のフィルター掃除も、目線の高さで作業できるので、室内の空気を綺麗に維持できると思います。
ソーラーは約7.5KW搭載しています。フラット屋根に架台なしに設置しているので、雪が積もれば発電しなくなりますが、それでも年間で25万円ほど売電収入があります。光熱費もほぼ同額なので光熱費ゼロ、実現できています。
収納もたくさんあって、整理整頓しやすいので良かったです。
T邸の省エネ性能などのスペック
天井 | セルロースファイバー400ミリ |
外壁 | 高性能グラスウール16キロ105ミリに押出ポリスチレンBⅢ100ミリ |
基礎 | 押出ポリスチレンBⅢ100ミリ両面 |
土間 | 押出ポリスチレンBⅢ100ミリ |
窓 | トリプルLOW-E |
玄関ドア | D2タイプ |
換気 | 第1種熱交換換気システム |
気密性能 | C値0.3 |
外皮平均熱還流率 | UA値0.27 |
建築物省エネルギー性能表示制度 | BELS(ベルス)★★★★★(最高等級) |
太陽光発電 | 7.5KW |
売電収入 | 年間約25万円 |
補助金 | 長期優良住宅リフォーム補助金(250万円) |
外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。国の定める基準はUA値=0.46/m2Kなので、T邸は大幅に上回っています。